GBSとはB群溶血性連鎖球菌の略称で、成人女性の10%が腟内に保有しているといわれる常在菌の一種です。
健康な成人女性には何も問題をおこさない菌ですが、この菌が産道にいると頻度は1%程度と低いのですが、赤ちゃんに肺炎や髄膜炎といった重大な感染症をおこす事があります。特に早産で小さく生まれてきた赤ちゃんには注意が必要です。
このような母子感染を防ぐために、妊娠35週前後に腟培養検査を行います。結果は1週間前後でわかります。GBSが陽性と判定された場合は、分娩時に母体への抗生剤投与が必要になります。陣痛発来や破水などで入院となったタイミングから抗生剤の投与を開始し、4~6時間ごとに分娩まで数回にわたって投与を続けます。
産道を通らない帝王切開で生まれた赤ちゃんでも母子感染をおこす事があるので、手術開始前に抗生剤を投与します。
また、前回妊娠時にGBSが検出されたことのある妊婦さんには、今回の妊娠中の検査で検出されなくても陽性扱いとして治療が必要になります。
この菌は性行為感染症ではありませんので、パートナーへの治療は必要としません。
等々力産婦人科
鈴木啓太郎