流産は大変つらい経験の一つです。その悲しみは経験した人でないとわかりません。特に初めての妊娠で流産となってしまうと、『自分は妊娠できないのでは…』という気持ちに陥る方が多くいらっしゃいます。
では、実際の流産の確率はどのくらいあるのでしょうか?
ある報告によると、流産率はごく初期の流産も含めると15~20%といわれています。そしてその原因の70%は胎児の何らかの異常(特に染色体異常)により、継続できないとされています。
ヒトの妊娠が成立するには、とても複雑な過程を要します。細胞が減数分裂して精子と卵子ができ、それが合わさって初めて46本の染色体をもった受精卵が誕生するのです。その受精卵が正しい位置に生着することで妊娠が成立します。
胎児の染色体異常の多くは偶発的に発生する異常であり、特別な要因がなければ繰り返す確率は高くはありません。しかし、年齢が高くなると卵子や精子の減数分裂に異常を起こしやすくなるので、高齢妊娠に流産が多い理由はそこにあります。
流産を経験された方への大切なメッセージです。『とてもつらいお気持ちはよくわかります。上記をご理解いただくにも時間がかかるとは思いますが、自分だけに課せられた経験では決してありません。次回妊娠への希望を捨てず、前向きに考えていただければ幸いです。』
等々力産婦人科
鈴木啓太郎