常位胎盤早期剥離
通常、胎盤は児の娩出の後に剥がれて娩出されます。しかし赤ちゃんが子宮内にいるにもかかわらず胎盤がはがれてしまうことがあります。これを常位胎盤早期剥離（以下、早剝）といいます。
早剝を起こすと、赤ちゃんは十分な酸素を得られず、大変危険な状態に陥ります。母体においても著しい血液凝固異常をきたし、出血が止まらない状態が生じます。
このため、早剝と診断された場合には一刻も早く児を娩出させる必要があり、緊急帝王切開や吸引・鉗子分娩などが行われます。
早剝の症状は、激しい痛みを伴う持続的な子宮の収縮、子宮からの出血です。時に出血を伴わないこともあります。検査方法は超音波による胎盤の付着部にみられる血腫、NSTによる胎児機能不全の所見です。
早剝で低酸素脳症をきたしたお子さんには、将来的に脳性麻痺が出現する可能性があるので、保育器に一定時間収容し、場合によっては新生児科での入院が必要となることもあります。
等々力産婦人科
鈴木啓太郎
2018.09.01